「医師から原発性肺がんと宣告されました。これは原子力発電所の事故と関係があるでしょうか?」とご質問いただくことがあります。結論としては、原子力発電所の事故とはまったく関係がありません。このコラムでは、原発性肺がんについてお伝えします。
中皮腫は、アスベストを吸い込んだ(曝露)ことが原因であることがほとんどです。しかし、肺がんの原因は「たばこ」を吸ったり、他のがんの転移が原因であったりと、アスベストが直接の原因だとは限りません。
他の臓器から別の臓器に転移してがん病巣が作られたものは「転移性癌」や「続発性癌」と呼ばれます。そうでないがんを「原発性癌」(プライマリーキャンサー primary cancer)といいます。
プライマリーを辞書で引くと、『最初の、原始的な、根本の、基本の、第一の』といった意味なので、原発性肺がんは「最初の癌は肺がん」といった意味になります。
別の臓器から肺に転移した転移性、続発性の場合には、労災保険、石綿健康被害救済制度、建設アスベスト救済制度の対象にはなりません。アスベストが原因で肺がんになった場合には、「原発性かどうか」の判定が極めて重要です。
原発性肺がんかどうかは、医師であっても判定が困難です。「アスベスト被害者に特徴的な石灰化したプラーク(繊維性の肥厚)が肺に付着している」「このプラークは、アスベスト被害者に特徴的なものだ」といった医師の判断があればいいのですが、単に診断書に「肺がんの疑い」と記載されることもあります。
病名が違っても認定される可能性があります!
アスベストを過去取り扱っていたご家族が「肺がんの疑い」など診断された場合は、アスベスト被害給付金の申請に詳しい弁護士法人シーライトの弁護士にお気軽にご相談ください。
この記事の監修弁護士
弁護士法人シーライト
副代表弁護士 小林 玲生起
神奈川県弁護士会所属。藤沢生まれ、藤沢育ち。アスベスト給付金申請の代理業務については弁護士向け教材の講師を務めるなど、詳しい知識を持つ。