石綿健康被害救済制度は、2005年に報道された「クボタショック」が制度創設の背景にあります。
労働者として工場で働いていて、アスベストを吸い込んで(ばく露)健康被害が生じれば、労災保険の申請ができるのですが、アスベスト周辺住民の方は仕事で扱っていたわけではないので、労災が使えません。そこで、国は石綿健康被害救済制度を創設しました。
石綿健康被害救済(制度)給付金
対象疾病などの要件 | 給付内容 |
1.中皮腫 2.原発性肺がん 3.石綿肺 4.びまん性胸膜肥厚 ※良性石綿胸水は対象外です。 | ■ご存命 ・医療費(石綿健康被害医療手帳の病院窓口提示により窓口本人負担なし) ・手帳が交付されるまでの間の医療費 ・療養手当(月103,870円を2ヶ月に1回受給) |
石綿健康被害救済制度のモデルになったのが、労災です。労災との比較をしてみましょう。
労災の給付内容と石綿健康被害救済制度給付金の給付内容を比較すると、
- 労災には休業中の「休業補償給付」がありますが、石綿健康被害救済制度給付金の対象者は、必ずしも仕事でアスベストを扱った人でない方も被害に遭うことを前提としているので、休業補償給付はありません。
その代わりに、石綿健康被害救済制度では、一律に月103,870円の療養手当が支払われます。
- また、労災では後遺障害が生じれば、後遺障害等級に応じて障害補償給付が支払われますが、石綿健康被害救済制度では、それに相当するような給付金はありません。なお、石綿健康被害医療手帳が交付されるまでの医療費、手帳が交付された後の医療費は、労災と同様に支給されます。
アスベストを含んだ製品を生産していた工場の周辺にお住まいの方、家族がアスベストを取り扱っていた方などで、胸が苦しい、呼吸が困難な方は、石綿健康被害救済制度の対象疾病かもしれません。
弁護士法人シーライトでは、アスベスト被害者のご本人・ご遺族限定で、15分無料電話相談も行なっていますので、お気軽にお電話ください。
この記事の監修弁護士
弁護士法人シーライト
副代表弁護士 小林 玲生起
神奈川県弁護士会所属。藤沢生まれ、藤沢育ち。アスベスト給付金申請の代理業務については弁護士向け教材の講師を務めるなど、詳しい知識を持つ。