職業 | 現場監督 |
---|---|
勤務形態 | 正社員 |
現在の状況 | 故人 |
年齢 | 60代 |
病名 | 石綿肺 |
喫煙歴 | 喫煙習慣あり(10年~15年) |
ばく露時期 | 昭和53年(1978年)~平成25年(2013年)頃 |
ばく露年数 | 約35年 |
ばく露した状況 | 建築現場・解体現場において、現場監督をしており、その立会いの際にアスベストにばく露した。 |
ばく露場所 | 東京都、神奈川県 |
申請をお勧めした給付金制度 | 建設アスベスト給付金制度 |
申請から受給までの期間 | 約4ヶ月 |
ご依頼いただいた経緯
被災者ご本人から労災申請のご依頼をいただいていましたが、審査中に肺炎でお亡くなりになってしまいました。そのため、ご遺族であるお子様達からご依頼を引き継ぎました。
そして、労災認定後、続けて建設アスベスト給付金の申請も依頼したい、とのことでご依頼をいただきました。
お客様のお声
・私たちでは本当に分からない事だらけでしたので、先生をはじめスタッフの皆様のご尽力のおかげでこのように無事に終えることができました。来月の父の一周忌には家族皆で父のことを想って過ごそうと思います。
・対応していただいた方が先生でほんとうに良かったと思っております。
・先生には大変お世話になりました。私たちでは何もできないままになっていたと思います。ちょうど来月が一周忌なので、家族で集まって父への報告もしたいと思います。
弁護士のコメント
労災保険へ申請した時点では、「間質性肺炎」とのみ診断されており、アスベスト給付金の対象疾病である、「中皮腫」「肺がん」「著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚」「石綿肺」「良性石綿胸水」の診断はされていませんでした。
しかし、被災者が石綿肺であることを主張する弁護士意見書を労基署に提出し、しっかりと調査・検討するよう上申するなどの弁護活動を行なったところ、石綿肺として労災保険が認定されました。
建設アスベスト給付金の対象疾病である「石綿肺」と労災医員に診断されていたこと、また労災が認定されていたことから、労災認定の資料をもとに建設アスベスト給付金の審査を受けることができました。そのため、追加の資料提出などもなく、スムーズかつスピーディに給付金を受け取ることができました。
また、本件では、被災者の方が事業に基づく相当額の借金を抱えておりましたが、相続放棄をアドバイスいたしました。相続財産とは別途の遺族固有の権利ですので、相続放棄をしても、遺族の労災保険の受給権や建設アスベスト給付金の受給権には影響がありません。以上のような手続きや法的アドバイスの結果、遺族の方に、以下のような経済的利益を確保することができたものと自負しております。
〇労災保険給付金
・治療開始から死亡するまでの休業補償給付 約10万円
・葬祭料 約100万円
・遺族補償一時金 約2400万円
〇建設アスベスト給付金 1300万円
〇相続放棄による相続債務の免責
建設アスベスト給付金を申請する場合には、対象疾病の診断を受けているか、また労災保険が認定されているかどうかで認定までの道のりが大きく変わってきます。
特に、対象疾病が認められていない場合、道半ばで「もうだめだ」と諦めてしまう方がいらっしゃいます。確かに、医師からは「対象疾病ではない」「診断書は書けない」などと言われてしまった上、役所からも申請の取り下げを勧められてしまえば、「もうだめだ」と思ってしまうのは当然です。
しかし、本件のように弁護士が介入することで病院や役所へしっかりと説明して働きかければ、まず医師に診断書を書いてもらうことができ、次に役所にも審査を進めてもらうことができ、最終的に給付金を受け取れた事例があります。特に、本来「石綿肺」「アスベスト肺」「じん肺」と診断されるべきものが、「間質性肺炎」や「肺線維症」と過小診断されていることが多いことがアスベスト健康被害に詳しい医師からも指摘されています(毛利一平著「石綿ばく露と石綿肺・間質性肺炎:疫学的視点からの問題提起」社会労働衛生17巻2号64頁)。
そのため、建設作業によってアスベストにばく露した方は、「対象疾病は診断されていない」「医師が明確にアスベスト・石綿ばく露との関連性を診断してくれない」といった場合であっても、「どうせ貰えないだろう」「もう無理だろう」などと思わずに、「ものは試しに相談してみよう」「とにかく、給付金を申請してみよう」という気持ちで、まずはお問合せいただければと思います。