アスベスト被害給付金は、大きく3つあります。
1つめは、石綿健康被害救済制度です。これは、アスベスト製品を生産する工場の近所に住んでいた人が、アスベストを吸い込んで健康被害にあった場合を想定しています。いわゆる2005年に報道された「クボタショック」を契機にできた制度です。
2つめは、労災保険です。会社の従業員が仕事中にアスベストを吸い込んで、健康被害にあったことを想定しています。
3つめは、建設アスベスト給付金制度です。建設会社やアスベスト製品製造工場の従業員の方は労災が使えるのですが、個人事業主の一人親方や中小建設会社の現場に出る社長さんは労災が使えません(特別に労災に加入していれば別です)。
しかし、実際には、労働者の人と働き方は一緒であったので、労働者か否かに拘らず、建設業務でアスベスト被害に遭った人を広く救済しようとする趣旨で、2022年に創設されました。この制度は、最高裁令和3年5月17日判決民集75巻5号1359 頁(いわゆる「建設アスベスト神奈川訴訟」)が、元になっています。
ついつい「1つにすればいいのに」と思ってしまいますが、1つにできない理由があるのですね。どの制度で申請すればいいかお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
この記事の監修弁護士
弁護士法人シーライト
副代表弁護士 小林 玲生起
神奈川県弁護士会所属。藤沢生まれ、藤沢育ち。アスベスト給付金申請の代理業務については弁護士向け教材の講師を務めるなど、詳しい知識を持つ。