旧国鉄職員の方がアスベスト被害にあったときは「旧国鉄業務災害補償制度」を利用してアスベスト被害給付の申請ができることに争いはありません。
しばしば「なぜ国鉄は労災が使えないのか?」と質問をいただくことがあります。ご説明しますと、労災保険は民間企業を対象とした公的保険制度です。国鉄は国の機関でしたから、労災に代わる保険制度として「業務災害補償制度」がありました。この制度は、国鉄清算後も用いられ、旧国鉄時代に発生した病気やケガは、この制度で補償されました。
ところで、アスベスト被害給付金には3つあり、併用が可能なものもあります。では、旧国鉄職員の方もこれらの制度を併用できるのでしょうか。場合分けをしてみましょう。
まず、国鉄職員として定年退官(退職)をした場合です。この場合には、旧国鉄の業務災害補償制度のみ利用できます。
次に、国鉄を退職した後に民間企業(JR含む)に転職(労災に加入)し、アスベストを取り扱った場合です。この場合には、労災保険の申請も可能です。もっとも、一般的には、旧国鉄の業務災害補償制度の方が労災保険よりも補償が手厚いので、わざわざ労災保険に申請するメリットはあまりありません。
さらに、旧国鉄またはJRで建設業務にも携わった場合には、一般論として建設アスベスト被害給付金の申請ができる可能性があります。ただし、複数の論点がありますので、ご面談の際に勤務内容の詳細を弁護士よりお伺いいたします。
大船工場をはじめとした旧国鉄・JRに勤務しアスベストの健康被害にあった方、ご家族・ご遺族の方は、お気軽に弁護士法人シーライトにお問い合わせください。
この記事の監修弁護士
弁護士法人シーライト
副代表弁護士 小林 玲生起
神奈川県弁護士会所属。藤沢生まれ、藤沢育ち。アスベスト給付金申請の代理業務については弁護士向け教材の講師を務めるなど、詳しい知識を持つ。