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ブレーキパッド加工でばく露した方の事例

職業/業務内容工場作業員
症状肺がん
現在の状況治療中
年齢70代
勤務形態正社員
ばく露時期昭和60年(1980年)代~平成一桁(1990年)代
ばく露年数約5年
ばく露した状況工場内でアスベストが含まれたブレーキパッドの加工作業に従事し、アスベストにばく露した。
申請をお勧めした給付金制度①労災保険
②石綿健康被害救済制度
ご相談者ご本人

①ご相談内容

被災者は、1980年代に、ブレーキパッド(ブレーキライニング)に穴を開ける、切り取るなどの加工をして掘削用ドリルに取り付ける業務に労働者として従事していた。ブレーキパッドには、石綿(アスベスト)が含まれており、加工の際に粉じんが舞ったり、作業終了後の片付け・掃除の際にエアブローで粉じんを飛ばすため、この際に、アスベストを吸ったものと思われる。
最近になって、原発性肺がんが発見され、「アスベスト被害者に特徴的な石灰化したプラーク(繊維性の肥厚)が肺に付着している」「このプラークは、アスベスト被害者に特徴的なものだ」と医師から指摘された。
被災者のから、以上のようなご相談をお受けしました。

②弁護士からのアドバイス

1.アスベスト被害者の救済制度のご説明

労働者である時にアスベストにばく露し、アスベスト関連疾患(中皮腫、肺がん、石綿肺、びまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水)を発症した場合には、被害者の方は、①労災保険、②石綿健康被害救済制度のどちらかが利用できる可能性があります。
さらに、アスベストばく露作業が、石綿の吹付け作業または一定の屋内建設業務である場合には、③建設アスベスト被害救済制度が利用できる可能性もあります。

本件の被災者の方は、労働者の時にアスベストにばく露したとのことでしたので、①労災保険の利用が第一に考えられました。労災保険においてアスベスト被害の業務災害性が認められた場合には、治療費(療養補償給付)、休業補償給付(平均賃金の80%)が支給されます。それだけでなく、後遺障害が残ってしまった場合には障害補償給付、アスベスト関連疾患でお亡くなりになってしまった場合には遺族補償給付が支給されます。

以上のようなご説明を差し上げたうえで、労災保険申請をお勧めしました。

2.石綿健康被害救済給付の申請も併せて行うことをアドバイス

また、上記②石綿健康被害救済給付は、上記①労災保険の制度とは別個のものです。そのため、「上記①では認定されなかったが、上記②は利用できる」(またはその逆)もあり得るところです。
そこで、なるべく、上記①または上記②のどちらかで給付金の支給を受けることができるよう、上記①労災保険申請と併せて、上記②石綿健康被害救済給付の申請も行うことをアドバイスいたしました。

③所感・まとめ

相談者の方は、これから本格的に肺がんの治療に専念するため、申請に関していろいろと動けることができず、そもそも申請について何も分からず、不安であるとのことでしたので、労災保険・石綿健康被害救済給付の申請を当事務所にご依頼いただくこととなりました。

本件のように、アスベスト被害者向けの救済制度の申請に関しては、弁護士などに任せてしまった方が、給付の可能性を高めることができるだけでなく、申請に関して色々と煩わされたり、時間を取られることがないため、アスベスト関連疾患に対する治療に専念することができると考えられます。
アスベスト関連疾患、すなわち、

  1. 中皮腫
  2. 肺がん
  3. 石綿肺
  4. びまん性胸膜肥厚
  5. 良性石綿胸水

であると診断を受けた方またはそのご遺族は、早めに、法律事務所に相談することをお勧めいたします。

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