特発性肺線維症で亡くなられた美装工・斫り工の事例

職業/業務内容美装工
症状特発性肺繊維症
現在の状況故人
年齢70代
勤務形態正社員
ばく露時期昭和57年(1982年)代~平成26年(2014年)代
ばく露年数約32年
ばく露した状況建設工事現場でのクリーニング・美装作業(斫りを含む)に従事していた。その為、周囲でアスベスト吹付けやアスベスト含有建材の加工作業等が行われており、それによってアスベストにばく露した。また、アスベスト含有建材などを斫る作業によってばく露した。
申請をお勧めした給付金制度①労災保険 ②石綿健康被害救済制度③建設アスベスト給付金制度
ご相談者被災者の子
目次

① ご相談内容

7年ほど前に、お母様を亡くされたご家族の方からのご相談でした。お母様は、時期ははっきりしないものの20年近くにわたり、建設現場での美装作業(クリーニングのような作業)や、斫り作業(主に建設現場でコンクリートやモルタルなどの材料の表面を削ったり、加工したりする作業)に従事されていました。

死亡診断書上の死因は「特発性肺線維症」でしたが、このような病名でもアスベストの給付金を申請できるのか、ということでご相談をいただきました。

② 弁護士からのアドバイス

本件では、お亡くなりになってから5年以上が経過しており、労災保険の請求権はすべて消滅時効にかかっていたため、労災保険の申請をすることはできませんでした。

しかし、時効により受給できなくなった方を救済するための制度として「特別遺族給付金」というものがあり、こちらを申請できる可能性がありました。

本件では①について、お母様は美装作業をしていた会社から個人事業主扱いとして金銭を受け取っていたようで、給与明細や源泉徴収票などが見当たりませんでした。そのため、いかに労働者として認定してもらえるかがポイントになると考えられました。

②について、死亡診断書上の診断名は「特発性肺線維症」でした。「特発性」とは原因不明という意味であり、原因不明の肺線維症ということになります。このままでは労災保険等の認定は困難です。労災保険または特別遺族給付金 が認定されるためには、中皮腫、肺がん、石綿肺、びまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水のいずれかであると認定される必要があります。本件は、現時点での病名では労災保険と認定されることは難しいです。

しかし、石綿肺は間質性肺炎やそれが進行した病気である肺線維症の一種ですが、しばしば「特発性間質性肺炎」や「特発性肺線維症」あるいは単に「間質性肺炎」「肺線維症」と診断されているケースがあります。そのような場合でも、医療記録等を収集し、石綿肺に特徴的な医学的所見をピックアップして意見書を提出し労災保険や特別遺族給付金を申請した結果、間質性肺炎や肺線維症が 石綿肺であると認定されたケースはよくあります。

本件でも、長年建設現場で働き、アスベストを大量にばく露する業務に従事していたと考えられます。死亡診断書上の病名だけで諦めずに、特別遺族給付金を申請することをお勧めいたしました。これについて、ご遺族だけで進めていくことは難しいとのことで、当事務所にご依頼いただくこととなりました。

③ 所感・まとめ

長年、建設業などでアスベストに暴露している方の場合には、アスベストが原因で肺の疾患になっていることが推測されます。しかし本件のように、必ずしも治療上必要でないことが影響して、ざっくりとした病名で診断・治療が進むことがあります。そういった場合でも、適切な申請を行えば、労災保険や特別遺族給付金などが認定されることがある為、対象となる病気の診断名が付いていないというだけで諦めず、まずは弁護士へ早めに相談いただくのが良いと思います。

この記事の監修弁護士

弁護士法人シーライト 副代表弁護士

小林 玲生起

神奈川県弁護士会所属。藤沢生まれ、藤沢育ち。アスベスト給付金申請の代理業務については弁護士向け教材の講師を務めるなど、詳しい知識を持つ。

弁護士法人シーライト 副代表弁護士

小林 玲生起

神奈川県弁護士会所属。藤沢生まれ、藤沢育ち。アスベスト給付金申請の代理業務については弁護士向け教材の講師を務めるなど、詳しい知識を持つ。

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