| 職業/業務内容 | 保温工 |
|---|---|
| 症状 | 慢性肺炎 |
| 現在の状況 | 治療中 |
| 年齢 | 70代 |
| 勤務形態 | 正社員、個人事業主、法人役員 |
| ばく露時期 | 昭和47 年(1972 年)~平成24(2012)年 |
| ばく露年数 | 約40年 |
| ばく露した状況 | アスベスト含有の保温断熱材の加工作業、アスベスト含有建材の切断・加工・吹付作業による粉塵飛散 |
| 申請をお勧めした給付金制度 | ① 労災保険 ② 建設アスベスト給付金制度 |
| ご相談者 | ご本人 |
① ご相談内容
ご相談者は、若い頃から保温工として、建設現場のビルや工場などで、アスベストを含む保温断熱材の加工作業を行っていました。また、ご相談者の周囲では、アスベストを含む建材の切断・加工や吹付け作業が行われていました。
約半年前、咳がひどくなったことから医療機関を受診したところ、「慢性肺炎」という診断を受けました。ご相談者は「この肺の病気はアスベストが原因ではないか」と疑問を抱き、インターネットでアスベスト被害に関する情報を調べるなかで、当事務所のホームページをご覧になり、ご相談くださいました。
② 弁護士からのアドバイス
1.アスベスト被害者の救済制度のご説明
まず、アスベスト被害者救済制度について、大きく3つの制度があることを説明させていただきました。アスベスト被害者の方は、①労災保険、②石綿健康被害救済制度、③建設アスベスト被害給付金制度が利用できる可能性があります。
詳しい制度については、下記をご覧ください。

2.今回利用する制度
お話をうかがったところ、労災保険・建設アスベスト被害給付金制度を利用できる可能性があると考えられたため、まずは労災保険への申請をすることをおすすめしました。
労災保険への申請を先に行っておくべき理由は、労災の認定が下りた場合、建設アスベスト被害給付金制度の申請をする際に、労基署が調査した資料を利用でき、スムーズに申請を行うことができるからです。
3.慢性肺炎はアスベスト給付金制度の対象であるか
アスベスト給付金制度における対象疾患は、①中皮種、②肺がん、③石綿肺、④びまん性胸膜肥厚、⑤良性石綿胸水(石綿健康被害救済制度は除く)とされており、「慢性肺炎」という病名はこの中には挙がっていません。
しかし、上記の対象疾患のうち、石綿肺・びまん性胸膜肥厚・良性石綿胸水は、「間質性肺炎」とだけ診断されるケースもしばしばあるところ、間質性肺炎は、慢性肺炎に分類されるものです。

ご相談者が長年アスベストを扱う作業に従事されていたことも踏まえると、本件では、「石綿肺」「びまん性胸膜肥厚」「良性石綿胸水」と診断されるべきものが、「慢性肺炎」と診断されてしまっている可能性が考えられました。
そのため、専門機関に診査してもらうべく、労災保険の申請をすることをおすすめしました。
③ 所感・まとめ
アスベスト給付金制度における対象疾患に挙がっていない「慢性肺炎」「間質性肺炎」「肺線維症」などの診断を受けていた場合であっても、その背景に石綿肺などのアスベスト関連疾患が存在する可能性があります。特に、長期間アスベストを吸い込んでしまうような作業に従事していた方は、「診断名がアスベスト給付金制度の対象疾病ではない」という理由だけで申請を諦めるべきではありません。

また、本件のご相談者のように、ご本人がご高齢の場合や、ご病気の治療に努めていらっしゃる最中の場合には、ご自身で労災保険や建設アスベスト給付金制度の申請作業を行うことは大変かと思います。
当事務所では、申請にあたっての資料の精査や申請手続をご本人に代わって行うことで、ご本人の負担をできる限り軽減するよう努めています。アスベストにばく露した心当たりのある方は、お気軽にご相談ください。
この記事の監修弁護士

弁護士法人シーライト 副代表弁護士
小林 玲生起
神奈川県弁護士会所属。藤沢生まれ、藤沢育ち。アスベスト給付金申請の代理業務については弁護士向け教材の講師を務めるなど、詳しい知識を持つ。

弁護士法人シーライト 副代表弁護士
小林 玲生起
神奈川県弁護士会所属。藤沢生まれ、藤沢育ち。アスベスト給付金申請の代理業務については弁護士向け教材の講師を務めるなど、詳しい知識を持つ。

